2680.今日の植物(2164):ギエラ
ギエラは、シクンシ科 Guiera属(ギエラ属)の植物で、この属は切手に描かれているGuiera ssenegalensis種の1種のみという、1属1種の植物です。
ウイキペディアの情報によりますと、ギエラは、セネガルからスーダンに至る乾燥した熱帯気候の地域に分布しているということです。
ギエラは、タンニンや数種のアルカロイドを産生し、アフリカでは咳止め、血圧降下剤、下痢止め、抗炎症などmedicinal 'cure-all' (万能薬?)として使われているようです。また、生垣に使われ、根は歯ブラシの代わりになり、燃焼した煙は防虫用に使われるという誠に有用な樹木のようです。
ギエラはまた、コンパニオンプランツとしても利用されるということです。コンパニオンプランツというのは、一緒に植えられて他の植物に良い影響を与える植物のことで、このブログでも、タヌキマメとカモミールがコンパニオンプランツとして登場していました。前者は土壌中の線虫を駆除する植物として、後者は虫よけとして利用されていました。
今回のギエラは、夜間に吸収した水分を根から雑穀の方に供給し、その結果、乾燥地での雑穀の収穫量が劇的に増加するのだそうです。面白い機能を持った植物だと思います。
写真です。これもネットからお借りしています。
ギエラ・セネガレンシス Guiera ssenegalensis
●右の写真の背が高いのが雑穀でその周りの植物がギエラだと思われます。
切手です。
ギエラ・セネガレンシス Guiera ssenegalensis
2001年 セネガル発行(薬用植物)
●この切手と一緒に発行された切手はこちらです。⇒切手植物図鑑
2679.今日の植物(2163):マエルア
マエルアは、フウチョウソウ科 Maerua属(マエルア属)の植物で、The Plant Listでは57の種が分類されている植物群です。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物は、アフリカを中心に分布しているそうで、一部の種はレバント地域からインド亜大陸まで分布範囲を広げているということです。
切手に描かれているMaerua crassifolia種は、アフリカやアラブの熱帯地域、イスラエルなどに自生しています。この植物の葉は、乾季にはラクダの食料として利用されており、また中央アフリカでは重要な栄養源とされていて、スープに使われるようです。動物にも人間にも役立っている植物だということになります。
切手を発行したイエメンではごく一般的にみられる植物で、当地ではMeruと呼ばれているそうで、この名前が属名のMaeruaのもとになったのだという情報もありました。
写真です。これもネットから借用しております。
マエルア・クラッシフォリア Maerua crassifolia
切手です。
マエルア・クラッシフォリア Maerua crassifolia
ミツトヨ ダイヤルゲージ 2959A 1個(直送品)
1981年 (旧)イエメン人民民主共和国発行(樹木)
2678.今日の植物(2162):コノカルプス
コノカルプスは、シクンシ科 Conocarpus属(コノカルプス属)に分類される植物で、The Plant Listには2つの種名があげてあるだけという小さな属です。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物は熱帯地域に原産地を持つ植物で、2種の内、Conocarpus erectus種は南北アメリカ大陸及びアフリカの西海岸にマングローブを構成する植物として分布しています。
一方切手に描かれているConocarpus lancifolius種の方は、イエメンおよびソマリアが原産地で、その材は緻密で木炭として使われるそうです。その他に、街路樹や防音効果や遮蔽効果を生かして家屋の周辺に植えられるなどの形で利用される樹木だということです。
属名の、Conocarpus はギリシャ語由来で「konos(cone)+carpos(fruit)」でその果実の形態から来ているようです。
写真です。両方の種の写真をネットから借用しております。
(左)コノカルプス・ランキフォリウス Conocarpus lancifolius
(右)コノカルプス・エレクツス Conocarpus erectus
●種小名のlancifoliusは「皮針形(細長く先がとがり元の部分が広い)の葉の」、erectusは「直立した」(どこの部分を指しているのでしょうか?)という意味です。
切手です。
コノカルプス・ランキフォリウス Conocarpus lancifolius
1981年 イエメン人民民主共和国発行(樹木)
●この切手とセットで発行された切手はこちら⇒切手植物図鑑
●このイエメン人民民主共和国は1967年から1990年までの間イエメン南部を統治していた社会主義国家で、北イエメンと統合し現在のイエメン共和国になっていますが、混乱した政治状況にあります。
2677.今日の植物(2161):ハオルティア
ハオルティアは、ユリ科 Haworthia属(ハオルティア・ハオルシア属)の植物で、The Plant Listでは変種なども含めて276種が記載されていましたので、大きな種と言えそうです。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物は多肉植物で、モザンビーク、レソト、ナミビア、エスワティニ(旧スワジランド)及び南アフリカに固有の植物だということです。小型のアロエに似ていてかつてはアロエ科アロエ属に分類されていたものが分けられてHaworthia属とされるようになったのだそうです。アロエとの大きな違いは花被片が二つに分かれている花の姿だとされます。
また、この属の植物は葉に「窓」を持っている植物として有名なのです。葉の一部が透明になっていて、植物の本体は地中にあってもこの葉の窓を地上に出して、太陽光を取り入れて光合成を行うのだそうです。乾燥した環境で生き延びる工夫の一つのようです。
この属に分類される種の数を276種と言いましたが、まだ定説はなくて400種とか数十種とか諸説があるようです。
属名のHaworthiaは、英国の植物学者Adrian Hardy Haworth氏に因んで命名されました。この属名の読み方(書き方)は色々あるようで、最初に記した2つの他、ハウォルチア、ハウォルティアやハワーシアなどというものがあるとのことです。
また、新しい植物分類体系ではこの属は、ススキノキ科という科に分類されています。
写真です。手元の写真に加えて、特徴のある花の写真はネットから借用しました。多肉植物の常、と言ってもいいのでしょうがやたらと和名がつけられているのが気になりますなあ。
(左)ハオルティア「竜の爪」 Haworthia margaritifera
(右)ハオルティア「彩寿」Haworthia retusa×comptoniana
この2枚は、撮影:2004年1月12日 姫路市「市立手柄山温室植物園」
(左)ハオルティア「宝草」 Haworthia cuspidata
(右)ハオルティア「玉扇」 Haworthia truncata
撮影:2014年6月18日
宇部市:常盤公園
切手です。
ハオルティア・コーペリ Haworthia cooperi
2002年 コンゴ民主共和国(花)
●この切手に記載されている学名はAworthia cooperiとなっていて、「H」がとれているという妙なものになっています。不注意というか、なんというか、笑ってしまいます。一緒に発行されたセットはこちらです⇒切手植物図鑑
2676.今日の植物(2160):タクタヤニア
タクタヤニアは、シキミモドキ科 Takhtajania属(タクタヤニア属)の植物で、この属は、切手に描かれているTakhtajania perrieri種の一種だけが属する属のようです。
ウイキペディアの情報によりますと、Takhtajania perrieriはマダガスカルに固有の種で、小型の常緑樹、赤みがかったピンクの花を咲かせるということです。
この種が最初に報告されたのは1909年で、その後紆余曲折がありましたが、1997年にはTakhtajania属に分類される唯一の種だということが確定されました。この種はまた、水を通す導管(これがあることにより植物は乾燥した環境でも生きていける)を持っていないことから、湿度の高い環境で存続することができたのだとされています。
属名の、Takhtajaniaは、ロシアの植物学者Armen Takhtajan氏に因んで命名されたのだそうです。
シキミモドキ科というのは、このブログでは初登場の科です。
この科に分類される属の数は、4~9属(日本語ウイキペディア)、5属(英語版ウイキペディア)、6属(The Plant List)と情報によってまちまちですが、いづれにしても大きな科ではありません。
この科の植物は、顕花植物の原始的な姿を持っていて、モクレン科などとは遠いつながりがあると考えられているそうです。
写真です。ネットから借用しています。
タクタヤニア・ペリエリ Takhtajania perrieri
切手です。
タクタヤニア・ペリエリ Takhtajania perrieri
2002年 マダガスカル発行(動植物)
●この切手と一緒に発行されたセットはこちらです。⇒切手植物図鑑