356の12ボルトが弱いのはなぜかしら
356の12ボルト仕様はドイツのパトカーなど、無線機のために改造されたものが始まりと聞いております。
それでも発電量が不足するので、パトカーは予備のバッテリーを搭載していました。
現在の修理で見かける、356用の直径90mmの発電機(ジェネレーター)の、12ボルトへの加工は「アマチュアが細いため」、細い巻き線で加工するのです。
それにより、6ボルトから12ボルトへの巻替え改造は「細い巻き線」を使っているので、発電時の発熱でアマチュアの配線ハンダが飛んでしまい、寿命は極端に短くなります。
早いと5千キロ、長くても4万キロは持ちません。
オリジナルはアマチュアの芯を細く作っているので、通常の巻き線を使い、そこまで短くはありません。
しかし耐久性には問題があり、正式な12ボルト仕様はわずかの台数にとどまります。
ポルシェの912でも初期は細巻きの発電機(ジェネレーター)を採用しましたが、新車時でも故障は起きていたのを見ておりました。
後期は太巻きに変更されましたが、ほとんどの関係部品は変更されていて、6ボルト部品は使えません。
そのため12ボルト加工は当社では事情のわかった方のみに作業をしております。
レストア済みとかいう一部の356ではビートルのオルタネーターに変更しておりますが、問題だらけな改造ばかりです。
気が付かなければオーバーヒートでエンジンを壊すか、すぐに壊れるかです。
パッキンが外れているのはまあまあ経年変化なのでしょうか。
それにしては中央のナットは新しく、ごみ汚れも少ないんですけど。
912用のセンターハブという短い高さの部品が生産廃止なのでスペーサーを作ってはめてあります。
ワッシャシムがまったく不足していてナットが正常に締まっていません。
ファンが外れる可能性がありました。
写真にある黒いプレートも生産廃止品で、不足していたので在庫から補充します。
アルタネーターでは発電量が多いので、発熱対策でファンの風をオルタネーター内部に取り込みます。
そのために必要な重要部品で、さらにこれが欠品することでファンの風も正常に送られません。
黒いプレートが不足した状態です。
一目でファンの裏側の隙間が多すぎるのがわかります。
さらにセンタープレートが不足しているなどの欠品を修正します。
バックプレートは長いジェネレーター用のものだったので、これは助かりました。
12V仕様はとても部品交換に注意しないと、エンジンを破壊するもとにもなります。
ほとんどが生産廃止品だらけですから6ボルトが一番安全なのです。
ご注意ください。
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